抗血栓療法(血をサラサラにする薬)をしているかたの下肢静脈瘤手術
下肢静脈瘤の手術が必要となる方で、抗血栓療法をしている方がしばしば見られます。
いわゆる「血をサラサラにする薬」「血を固まりにくくする薬」「血栓の予防の薬」と呼ばれる薬です。
脳梗塞、心筋梗塞、不整脈、動脈硬化で処方されることが多いです。
そういう薬を飲んでいる場合、手術をすると出血がとまりにくくなる可能性がありますので大手術ではその薬を一時的に中止して、術後安定してから再開する、ということになります。
下肢静脈瘤に関しては血管の内側からカテーテルを挿入して熱を加える、という方法(血管内焼灼術)であれば、抗血栓療法をつづけたままで手術を行うことができます。
その治療例を紹介します。
70台の男性、
約10年前から下肢静脈瘤が見られていました。
不整脈(慢性心房細動)があり抗血栓療法(プラザキサ内服)をしていました。
手術としては薬を続けてもらいながら血管内焼灼術を行うこととしました。
通常なら静脈瘤の部分切除も行うのですが、今回はそれは行いませんでした。
日帰り手術で31分で手術は終了し、術後1時間で帰宅していただけました。
術後は内出血が多くなりやすいのですが、幸いこの方はほどんどなく、静脈瘤も全般的に消えています。
血をサラサラにする薬を内服していても、それを続けたまま下肢静脈瘤の治療は行うことができます。
静脈瘤の状態や他の病状をお聞きしてバランスの良い手術を相談できます。
下肢静脈瘤血管内焼灼術
下肢静脈瘤の原因となっている、静脈にカテーテルを挿入し高周波やレーザーを用いて熱を加え静脈を細くして閉塞させる治療です。その結果、静脈が膨らまなくなるため血管が目立たなくなります。
術後の注意点と合併症
手術後は一時的に内出血やつっぱり感が出ることがあります。
皮膚の感覚が部分的にしびれたりすることがあり、1%の人でその症状が残ってしまうことがあります。
深部静脈血栓症が起き入院が必要となる方が0.1%あります。
またどうしても術後5年以上たつと再発してくる方が10%あります。
手術にかかる費用
健康保険が適用されます。
3割負担のかたであれば自己負担分が、片脚で46000円、両脚なら93000円