左足は術後の再発で硬化療法、右足はあらたに下肢静脈瘤手術を行った治療例
70歳代の女性の方です。
左足は術後再発、右足はあらたな静脈瘤で治療をした方です。
10年以上前に左足は下肢静脈瘤の治療として抜去(ストリッピング)手術を受けました。
しかし最近になりふとももに静脈瘤が目立つようになり、同時に手術をしていない右足のふくらはぎにも静脈瘤が見えるようになってきました。
左足は前の手術で切除した静脈はもちろん治っているのですが、その時に残っていた別の静脈が静脈瘤となっていました。あまり太いタイプではないため硬化療法を行うことにしました。硬化療法は静脈瘤の中に硬化剤という薬剤を注入し血管を処理する方法です。
右足はふくらはぎに静脈瘤が目立ち、下肢静脈エコーでは大伏在(ふくざい)静脈型と診断し、こちらは手術が治療としてはよさそうで下肢静脈瘤血管内焼灼術を行うこととしました。
それぞれの治療は日を分けて行いました。
右足は手術後で静脈瘤はよく消えています。左足は硬化療法を行った後で、すこし皮膚に色がつく色素沈着が起きていますが3-6か月ぐらいで消えてきます。
下肢静脈瘤の治療を行った後に再発してくることがあります。だいたい10年たつと10%ぐらいといわれています。再発するタイプによって適した治療をえらび対応することができます。
下肢静脈瘤血管内焼灼術
下肢静脈瘤の原因となっている、静脈にカテーテルを挿入し高周波やレーザーを用いて熱を加え静脈を細くして閉塞させる治療です。その結果、静脈が膨らまなくなるため血管が目立たなくなります。
術後の注意点と合併症
手術後は一時的に内出血やつっぱり感が出ることがあります。
皮膚の感覚が部分的にしびれたりすることがあり、1%の人でその症状が残ってしまうことがあります。
深部静脈血栓症が起き入院が必要となる方が0.1%あります。
またどうしても術後5年以上たつと再発してくる方が10%あります。
手術にかかる費用
健康保険が適用されます。
3割負担のかたであれば自己負担分が、片脚で46000円、両脚なら93000円
下肢静脈瘤硬化療法
静脈瘤の中に硬化剤という薬剤を注入し静脈瘤にダメージを与えます。注射のように注入するだけなので約15分程度で終了します。
硬化療法の注意点
太い静脈瘤はこれでは治療できません。また逆にクモの巣状の細すぎる欠陥も注入することができません。
薬剤の注入後に血管が筋状に硬くなったり、血管に沿って皮膚が黒ずむ色素沈着が起きることがあります。多くは1年ぐらいかかることもありますがほぼ改善します。
硬化療法にかかる費用
健康保険が適応され、3割負担の方では約6000円