下肢静脈瘤の手術後に一時的な皮膚の感覚低下がでた治療例
70歳代の女性の方
約20年前からふくらはぎに静脈がめだつようになり、重みを感じるようになったのでかかりつけの先生に相談したところ、こちらのクリニックに紹介となりました。
ふくらはぎに下肢静脈瘤が見られ、下肢静脈エコーでは大伏在静脈(だいふくざいじょうみゃく:ふとももの内側の表面を走る静脈)に逆流現象が見られました。
下肢静脈瘤の治療として下肢静脈瘤血管内焼灼術(カテーテルを挿入しレーザー内側から静脈も熱を加える)を行いました。
手術は日帰り手術で行っています。
手術後1週間ぐらいしてから足の内側で触っている感じがわかりにくく、冷たいことに気が付きました。(下の写真の〇の部分)
こういう状態を感覚鈍麻(どんま)、知覚麻痺(まひ)と呼びます。
触らなければ特に痛みやしびれを感じることはなく、力もちゃんと入るので歩行もできます。
日常生活で困ることはあまりありません。
神経障害はおきたのですが、生活は普通にしてもらいながら神経が回復するのを待っていたところだんだんと神経障害の範囲が狭くなっていき手術後6か月目には十分に改善しました。
下肢静脈瘤の手術では神経障害が起きることがあります。血管の近くを神経が走っていることがあるので、できるだけ保護をしていますが手術後、今回のような知覚麻痺がおきることがあります。
多くの場合は、時間がかかりますが3-6か月で治ってくるのですが最終的に症状が残ってしまうことがあります。そうなるのはだいたい1%ぐらいです。ただ力ははいるので生活への支障は少ないとおもいます。
下肢静脈瘤血管内焼灼術
下肢静脈瘤の原因となっている、静脈にカテーテルを挿入し高周波やレーザーを用いて熱を加え静脈を細くして閉塞させる治療です。その結果、静脈が膨らまなくなるため血管が目立たなくなります。
術後の注意点と合併症
手術後は一時的に内出血やつっぱり感が出ることがあります。
皮膚の感覚が部分的にしびれたりすることがあり、1%の人でその症状が残ってしまうことがあります。
深部静脈血栓症が起き入院が必要となる方が0.1%あります。
またどうしても術後5年以上たつと再発してくる方が10%あります。
手術にかかる費用
健康保険が適用されます。
3割負担のかたであれば自己負担分が、片脚で46000円、両脚なら93000円