症例紹介ブログBlog

皮膚の色が黒ずむ色素沈着、皮膚炎を伴った下肢静脈瘤の治療例

70代の女性の方

約10年前から静脈瘤が目立つようになり、5年前から皮膚の色が変わってきて固くなってきました。かかりつけの先生に相談したところ下肢静脈瘤の治療のためこちらのクリニックに紹介となりました。

むくみが続くと、熱を持つようになり皮膚炎、さらに色が変わってきます。色素沈着と呼ばれる状態です。

これを放置しておくと色が濃くなってきたり、だんだんと固くなってきて硬化性脂肪織炎という症状になります。

こうなると下肢静脈瘤としては重症の部類に入ってきます。

他の原因、例えば心不全、肝硬変、貧血、あるいは長時間の立ち仕事などでもむくみがを長年ほおっておくとこういう状態になることがあります。

今回は下肢静脈瘤が原因のむくみなので下肢静脈瘤の治療を行いました。

下肢静脈瘤血管内焼灼術+瘤切除術を局所麻酔+静脈麻酔(睡眠剤で眠る)でおこない30分で終了しています。

手術では皮膚の色が変わっているところは、メスを入れるとなかなか傷が治りにくかったりするので、そこより上側の血管を処理していますが、足首の方にむかって流れ込む静脈の血液を上流でせき止めるような形になるので、これで治療効果がでます。

手術1時間後に帰宅していただけました。

 

1週間後の状態では特に合併症はなく、手術で処置を施した静脈は処理できていました。

しかしまだ赤っぽくなっており熱を持っていますので弾性ストッキングを引き続き着用してもらうようにしました。

 

手術後6週間の時点では赤っぽいのがおさまってきました。エコーで確認すると黄色矢印のところに静脈瘤がまだ残っていました。

初めの手術の時に処理できなかったところですが、そこには硬化療法という治療方法で静脈瘤の中に硬化剤を注入しました。

手術後10週間では、熱をもたなくなりむくみも改善しました。またエコー検査では残っていた静脈瘤も追加治療で処理できていました。皮膚についた色は3-6か月で半分ぐらいまでは色が薄くなると思いますが、完全に消えるのは難しいと思われます。

引き続き弾性ストッキングの着用は継続してもらっています。

下肢静脈瘤によるむくみが原因であれば、早めに治療を行うことがやはり大切です。

下肢静脈瘤血管内焼灼術

下肢静脈瘤の原因となっている、静脈にカテーテルを挿入し高周波やレーザーを用いて熱を加え静脈を細くして閉塞させる治療です。その結果、静脈が膨らまなくなるため血管が目立たなくなります。

術後の注意点と合併症

手術後は一時的に内出血やつっぱり感が出ることがあります。

皮膚の感覚が部分的にしびれたりすることがあり、1%の人でその症状が残ってしまうことがあります。

深部静脈血栓症が起き入院が必要となる方が0.1%あります。

またどうしても術後5年以上たつと再発してくる方が10%あります。

手術にかかる費用

健康保険が適用されます。

3割負担のかたであれば自己負担分が、片脚で46000円、両脚なら93000円

70歳以上の方で1割、2割負担の方は18000円以内で収まることが多いですが、個人により多少異なってきます。

当院では、平成30年6月1日に施行された医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)に則り、術前又は術後の写真を掲載する場合は、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を併記し、患者さんに誤認を与えないよう努めています。

なお、当院のプライバシーポリシーに反しない限り、掲載した写真は全て院内にて参照頂けます。ご希望の患者様は医師にお申し出ください。

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