下肢静脈瘤に起因する疾患

下肢静脈瘤は様々な症状がありますが、進行・悪化により様々な合併症を引き起こします。

下肢静脈瘤の進行と状態

軽症 中等症 重症
施術 弾性ストッキング
  • 弾性ストッキング
  • 手術を考慮
  • 弾性ストッキング
  • 弾性包帯
  • 手術
症状 静脈瘤は数mm程度であまり目立たない。 5mm以上の静脈瘤があり、血管がぼこぼこ目立つ。 5mm以上の静脈瘤があり、血管がぼこぼこ目立つ。
疾患 見た目の異常のみ
※見た目と症状は一致しないこともしばしばあります。

こむら返り

こむら返り

こむら返りは専門的には腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)と呼ばれ、腓(こむら=ふくらはぎ)に起こる筋肉の痙攣のことです。
筋肉が異常な緊張を起こし、筋肉が収縮したままの状態になり、激しい痛みを伴います。睡眠中にも起こることが多く、睡眠障害を引き起こすこともあります。
昼間に弾性ストッキングを履いておけば夜間のこむら返りの回数が減ることもあります。

むくみ、脂肪皮膚硬化症

むくみ、脂肪皮膚硬化症

治療が不完全な場合、脂肪皮膚硬化症(しぼうひふこうかしょう)へ進行することがあります。
脂肪皮膚硬化症は、皮下脂肪が硬くなり皮膚が変質します。また、痛みを伴います。硬化が進むとそれ以降の治りが悪くなり、治療期間も長くなり完治が困難になります。

湿疹、うっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)

湿疹、うっ滞性皮膚炎

血行障害により皮膚に異常が現れます。皮膚がざらざらと硬くなったり、かゆみをともなったりします。うっ滞性とは、静脈の循環不全で起こる、という意味です。
ひざ下3分の1の部位に生じる、慢性の皮膚の炎症で、下肢静脈瘤の血行障害によって引き起こされます。かゆみ、鱗屑(りんせつ),紅斑(こうはん)、色素の増加が現れます。
鱗屑とは、皮膚の一番外側の表皮の角質層が厚くなり、皮膚がざらざらし、ボロボロと剥がれかかっている状態を指します。
紅斑とは、皮膚が部分的に赤くなることです。悪化すると、かゆみのある紅斑は数、大きさともに増えていきます。うっ滞性皮膚炎があると軽い傷でも潰瘍になりやすくなり、感染のリスクが高まります。

血栓性静脈炎(けっせんせいじょうみゃくえん)

血栓性静脈炎

静脈に起こる炎症で、静脈瘤の部分が赤く固いしこりになります。静脈瘤内に血栓(血液の塊)が出来て、炎症を起こし、痛みを生じます。痛みや発赤は4~5日で治まることが多いです。しこりは数ヶ月で小さくなっていき、皮膚表面の血栓は重症になることはごく稀でそれほど心配はありません。
体の表面の静脈に起こったものを「表在性静脈炎」といい、深いところでおこった「深部静脈血栓症」と区別されています。「深部静脈血栓症」は、いわゆる「エコノミークラス症候群」の原因となる恐ろしい病気です。

潰瘍(かいよう)

潰瘍

皮膚に出来たキズが治らなくなり滲出液しんしゅつえき(透明な汁)が出たり、出血をおこすようになります。

皮膚潰瘍・下腿潰瘍(かたいかいよう)

下腿潰瘍は、皮膚潰瘍の一種で、ひざから下でおこると下腿潰瘍といい、くるぶしよりやや上の部分でおこります。
色素沈着を放置して炎症を繰り返すようになると、皮膚の栄養状態が悪くなり、皮膚が弱くなります。その結果、わずかな怪我でも傷ができやすく治りにくくなり、ただれを起こし、皮膚潰瘍を引き起こします。
酷いむくみを長年放置していると発生しやすくなります。比較的浅いところで起こる潰瘍で、虫食いのような表面の状態になることが多くみられます。小さな傷からでも発生し、また、痛みがあまり感じないこともあり、そのまま放置してしまう人も少なくありません。放置するとさらに大きく、悪化が進みます。痛みがなくても早めにご相談ください。

色素沈着

色素沈着

下肢静脈瘤が進行するとしみ(色素沈着)を引き起こします。また、放置すると湿疹ができ、炎症を繰り返すことによりさらに進行します。最初は薄い茶色ですが、進行すると黒っぽくなっていきます。ひどくなった色素沈着が改善するには長い期間が必要になり、下肢静脈瘤を治療したからといって完全には消えず、薄くはなりますが残ってしまいます。

入院が必要になることのある状態

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

蜂窩織炎

傷口から細菌が入り、炎症を起こす細胞感染症です。
蚊に刺されたような赤い斑点が現れることが多く、さらには赤くパンパンに腫れ、高熱を持つようになります。
また、むくみが続いていると傷はなくても急に赤く熱をもって蜂窩織炎を発症することがあります。足を上げておいたり弾性ストッキングや包帯で痛くない程度に圧迫し、むくみをとっておいた方が症状は早く治ります。

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)・肺動脈塞栓症(はいどうみゃくそくせんしょう)

下肢静脈瘤と深部静脈血栓症に直接的な関係はありません。下肢静脈瘤は、体の表面にある静脈でおきるのに対し、深部静脈血栓症は深いところ(足の中心部分)にある静脈でおこります。深部静脈血栓症は足を長時間動かさない状態が続くと起きやすくなります。例としては、入院中、長時間の飛行機やバス旅行などが挙げられます。
脱水症状にならないように水分を摂り、1時間に1回は足首を動かす運動をするよう心掛け予防するのが重要です。弾性ストッキングもとても有効です。
深部静脈血栓症になると、ある時急に足がむくむようになり、倍近くになることもあります。
深いところにある静脈で発生した血栓は肺に流れていくことがあり、肺動脈という血管が詰まってしまうと、「肺動脈血栓塞栓症」となります。時に重症になることもあり、入院が必要になります。

足壊疽(あしえそ)

皮膚や皮下組織が死滅し、足が黒く変色してしまう状態です。下肢静脈瘤を直接的な原因として足壊疽を起こすことはありません。静脈ではなく動脈の病気、糖尿病などから足壊疽に至ることがあります。

当院では下肢静脈瘤の日帰り手術を行っております

当院では症状や程度により適切な処置を心掛けており、必要に応じて日帰り手術のご提案を行っております。
全てのケースで手術が必要というわけではありません。選択肢として日帰り手術という方法があるということを診察の際には丁寧にご説明させて頂きます。気になる方はぜひ一度ご来院ください。

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